2016年5月7日

マブダチ行進曲



絵描きの男はある日、レモンの苗木を買った。
庭に植えると、
やめりゃ良いのに、男はレモンの木に願をかけた。

「花を咲かせて実をつけるまで三年、もしくはそれ以上かかる」
ということを、後から本で知った。

男は願をかけたことを後悔した。

「三年は待てない。」

と言って、絵描きの男は
レモンの木に自分の願をあずけることをあきらめ、
自分の元に呼び戻すことにした。

「仕方ない。
 それでは君が実をつけるのと、
 僕の願いが叶うのがどちらが先か競争しようではないか。」

あの日、競争をはじめてこの日で十年。
絵描きの男とレモンの木は
十周年記念に、ふたりで仲良くワインを開けた。